2018年

3月

29日

比較文の例文

 比較文の導入で「アメリカはロシアより小さいです」「メロンはイチゴより大きいです」などの例文を使っていませんか。

 

 はたして上記の文はいつ使われるのでしょうか。それぞれの文を検討していきましょう。

 

 まず、1つ目の文です。そもそもアメリカ自体面積が大きい国なので、「アメリカが小さい」と述べるのはすこし妙です。どちらかというと「ロシアアメリカより大きいです」のほうが自然でしょう。

 

 そして、2つ目の文です。「メロン」と「イチゴ」を比べた場合、「メロン」が大きいことは明らかです。そのため、情報という観点から考えると、あまり意味がない文だと言えるでしょう。

 

 では、どのような例文がよいのでしょうか。答えは生活に関する例文です。たとえば「××レストランは○○レストランよりおいしいです」や「○○スーパーは▲▲スーパーより安いです」などです。日常会話においては、2つを比べるのではなく、1対多数で比較することも大変多いです。たとえば、「○○スーパーはほかのスーパーより安いです」「××レストランはほかのレストランよりおいしいです」などです。このような例文を授業で提示するのも意義あることでしょう。

 

 このように、例文を考える際は自身の生活を振り返ってみるのもよいかと思われます。

2018年

3月

27日

頑張ります

 「頑張ってね」「うん、頑張る」のように「頑張ります」ということばは非常に多くのところで使われます。


 語源は諸説ありますが、「我(が)に張る」つまり自分の考えを押し通すことに由来する、または「眼張る」つまり注視して見張ることに由来するなどの説があります。今ではこれらの語源から転じて「努力して取り組むこと」を表すことばになりました。


 「頑張ってくださいね」などと言うほうは、悪気なく使うのですが、言われたほうとしてはそれがプレッシャーになってしまうケースもあります。または、何かを強要されているようで「頑張って」と言われるのも嫌う人もいます。実際に「勉強、頑張ってくださいね」などと言われるのを嫌う学習者も中には存在します。


 くわえて、フォーマルな場面で「頑張ります」を使うと、すこし違和感が出てしまいます。その代わりとして用いられるのが「尽力する」で「尽力いたします」などのように使われることも多いです。


 「頑張ってください」を英語にすると“Do your best.”となりそうですが、これは不安がっている人に対して使われる励ましのことばです。英語の場合、“Good luck.”などの表現のほうが多く使われるでしょう。そして、「頑張りましたね」は“Good job.” “Well done.”などで表すことができます。いずれにせよ、英語の場合は状況や場面などによって使われる表現は変わってくると言えるでしょう。

2018年

3月

23日

仕方がない

 何か困難な状況や不可避の事態に見舞われ、「どうしようもない」というときに使われるのが「仕方がない」です。この表現には、遭遇している状況や事態を受け入れるしかないというある種の諦観の意味合いも含まれています。類似表現としては「仕様がない」「致し方ない」「やむを得ない」などがあります。


 “Shikata ga nai”などとローマ字表記して表されることもあるようですが、「仕方がない」という意味の熟語としてよく提示されるのが“can’t help doing.”です。しかし、この場合は諦観の意味ではなく、「~したくて仕方がない」「~せずにはいられない」という意味で使われます。上記の意味合いを出すためには“There's nothing we can do.”という言い方もありますが、こちらは諦観というよりも「なす術がない」という意味に近いです。


 また、「仕方がない」は聞き手に対しても使えます。たとえば、台風の影響で予約していたライブがキャンセルになり、がっかりしている友人がいたとします。その場合、相手に対して「台風なんだし、仕方ないよ」のように励ましのことばとして使用する例も考えられます。この場合、英語では“That's life.”と言って、落胆している相手に対して励ましのことばを投げかけるということもできます。


 諦観の意味合いが言外に含まれている「仕方がない」。そこには、日本語に込められた事態への捉え方が反映されているようにも感じます。

2018年

3月

21日

否定形疑問文の答え方

 否定形疑問文の答え方は日本語と英語とで異なることはよく知られています。たとえば、“Don’t  you usually have breakfast?”に対する回答は、“Yes, I do.”で「食べること」を表し、“No, I don’t.”で「食べないこと」を表します。


 しかし、日本語の場合「ふだん朝食を食べませんか」という質問に対する回答は「ええ、食べません」「いいえ、食べます」となります。つまり、「普段食べない」という内容に対する真偽を尋ねているわけです。「普段食べない」という内容が真なら、「はい」となり、「普段食べない」という内容が偽なら、「いいえ」となるのです。英語では単純に「朝食の有無」を聞いているので、“Yes, I do.” “No, I don’t.”でよいのです。


 実は否定形疑問文の答え方は日本語学習者にとっても難しく、「はい/いいえ」を省略して単純に「食べます/食べません」のように答える学習者もいます。

2018年

3月

09日

この世とあの世

 存命中の世界のことを「この世」、死後の世界のことを「あの世」と言います。

 

 基本的には、自身の領域にある事物を「これ・この」などで指し、自身から遠くにある事物に対しては「あれ・あの」などで指します。

 

 「この世」は言い換えれば「こちらの世界」で、現在位置している地球上の世界を述べています。「こちらの世界」からは見ることができない死後の世界のことを「あの」を使って指し示すというのも不思議なものです。

 

 英語では「あの世」は、"that world"ではなく、"the other[next] world"と述べるのが一般的だそうです。

 

 英語とは異なり、生前と死後を「この世」「あの世」と連続した世界としてとらえるのは、日本語ならではの死生観が表れているのかもしれません。

2018年

3月

06日

語呂合わせを使った英単語の覚え方

 英語を習い始めたばかりで、takeとbringの使い分けがこんがらがってしまう学習者に対して、「takeは『「持っていく」という語呂合わせですぐに覚えられる」という説明を耳にしたことがあります。しかし、この覚え方だと間違えてしまう可能性があります。


 たとえば、「(あなたの元に)これを持っていきますね」と述べる場合、正しくは“I’ll bring this to you.”なのですが、「持っていく」と覚えてしまうと、“I’ll take this to you.”と述べてしまうかもしれません。


 「行く」と「来る」は、日本語と英語とで視点の置き方が異なります。日本語の「持っていく」は話し手の視点が出発するところにあり、そこから何かを持参するときに使われる表現です。一方、「持ってくる」は、話し手の視点が到着するところにあり、そこへ何かを持参するときに使われる表現です。


 それに対し、英語のtakeは、話し手である私が今いる場所から違う場所に持参するときや、話し手と聞き手が共に同じ場所へ移動し、何かを持参するときに使われます。一方bringは、話し手である私が聞き手と近づくときに使われます。


 このように言語間では、完全に1対1で対応していない単語も多くあるため、覚え方にも注意が必要だと言えるでしょう。