2018年

4月

27日

「ぜひ協力します」

 先日、テレビの再現ドキュメントを見ていて、「ぜひ協力します」というセリフを耳にしました。

 

 協力を要請されたときのセリフだったのですが、文としての座りが悪く感じます。「ぜひ」のあとに「~ます」で意志表明するのは不自然です。

 

 「ぜひを使う場合、後ろの文は行動要求表現や、許可求め表現となるが普通です。たとえば、「ぜひ召し上がってください」や「ぜひやらせてください」などです。

 

 したがって、先のセリフは「ぜひ協力させてください」なら、なんの違和感も持たないで済むのです。

 

 仮に「協力します」のほうをそのままにしたいのなら、「もちろん、協力します」などと言ったほうがよいでしょう。

2018年

4月

10日

「間」と「間に」

 時を示す表現の中で、似たようなものとして「間」と「間に」があります。例文から両者の違い考えてみましょう。

 

①夏休みの間、ずっとハワイにいます。
②夏休みの間に、運転免許を取ります。
 
  ①は夏休み中の大部分をハワイで過ごすというのを表しているのに対して、②では夏休みのどこかのタイミングで免許を取るということを述べています。この違いは英語におけるduringとinと似ていると言えるでしょう。また、次のような例文も考えられます。

 

①出かけている間、ずっと雨が降っていました。
②出かけている間に、雨が降ってきました。
 
  ①は外出中ずっと雨が降っていたというのを表しているのに対して、②では外出中のどこかのタイミングで雨が降り始めたということを述べています。この違いは英語におけるwhileとwhenと似ていると言えるでしょう。


 このように、母語の背景知識が生かせる使い分けはさまざまなところにあるのです。

2018年

4月

06日

「~とき」の導入法一例

 日本語では、従属節内の時制によって、あらわす内容が異なります。このような違いが把握できるよう、よく使われる例文が以下のものです。

 

①授業が終わるとき、 Xさんが教室に来ました。
②授業が終わったとき、Yさんが教室に来ました。

 

 この例文は遅刻した人について述べています。

 

 ①では、ル形を用いており、そろそろ授業が終わるという段階で「Xさんが教室に来た」と説明しています。
 一方、②は授業が終わった段階で「Yさんが教室に来た」と説明しています。


 このように日本語教育で「~とき」を扱う際は、できるだけシンプルな例文を提示する工夫が求められるのです。

2018年

4月

05日

なので

 「今後、人件費の増加が予想されます。なので、工場の移転を提案します。」という文中に使われる「なので」に違和感を抱くでしょうか。

 

 このように文頭に接続詞として「なので」を使うのは、文法的には誤りとされています。「なので」の形になるのは「星がきれいなので、外へ行きませんか」「雨なので、走りましょう」などのように、「ので」の前にな形容詞(形容動詞)、または名詞が置かれるときです。

 

 では、なぜ文頭に「なので」が使われるようになったのでしょうか。先の文を「だから」と見比べてみましょう。

 

「?今後、人件費の増加が予想されます。なので、工場の移転を提案します」
「今後、人件費の増加が予想されます。だから、工場の移転を提案します」
 
 「だから」のほうが、「人件費の増加を理由として、移転すべきだ」という意味合いの語感が強まります。それを弱めようとして「なので」が使われた可能性があります。ただし、「なので」に違和感を持つ人もいるため、公的の場などでは「そのため」「ですので」などと述べたほうがよいでしょう。

2018年

4月

04日

「~たことがあります」の導入法一例

 「~たことがあります」をどのように導入するのでしょうか。参考にできる部分があるかもしれないので、以下に紹介します。

 

 「あります」は所有を表します。たとえば「話があります」「質問があります」などです。この所有文を最初に復習します。


 そして、所有文「~があります」の復習が終わったところで、学習者に次のような質問をします。「UFOを見たことがありますか」「スカイダイビングをしたことがありますか」などです。

 

 このとき、「映画館で映画を見たことがありますか」のようなまったく珍しくない経験を尋ねる文は提示しないように注意します。というのは、「~たことがある」の文は、経験を有するかどうかに焦点が置かれているので、「映画館で映画を見たことがありますか」のように答えがほぼYesになってしまう質問をすると、意味・用法がぼやけてしまうからです。

 

 導入の際は、「ことがある」の「こと」は「経験(experience)」を意味するという説明も加えます。


 あわせて、文法説明をする際は時間軸を示した図解を提示します。それにより、「~たことがあります」と「~ました」の違いがより明確になると考えられます。

2018年

4月

03日

もったいない

 食べ残しがあったとき、好機を生かしきれなかったとき、時間を無駄遣いしてしまったとき、いずれの場面でも「もったいない」と発することができます。

 

 2004年にノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんが環境保全の標語として普及させたことにより、世界的にもMottainaiは知られるようになりました。

 

 もともとは仏教に関係することばで「勿体無い」が語源です。「勿体」とは、この世はすべて縁でつながっているという本質であり、その本質を無視していることを嘆くところから来ているようです。そこから転じて、与えられた事物をうまく生かしきれないことを残念に思う気持ちを表しているのだそうです。

 

 これを英語にした場合、“That’s a waste.”と表現することができますが、この場合「それは浪費・無駄遣いだ」という意味になり、「もったいない」が持つ「惜しむ気持ち」までは完全に届けられないでしょう。


 事物への敬意が込められている「もったいない」。環境保全を発展させていくうえで、これからも重要な概念となっていくことでしょう。