仕方がない

 何か困難な状況や不可避の事態に見舞われ、「どうしようもない」というときに使われるのが「仕方がない」です。この表現には、遭遇している状況や事態を受け入れるしかないというある種の諦観の意味合いも含まれています。類似表現としては「仕様がない」「致し方ない」「やむを得ない」などがあります。


 “Shikata ga nai”などとローマ字表記して表されることもあるようですが、「仕方がない」という意味の熟語としてよく提示されるのが“can’t help doing.”です。しかし、この場合は諦観の意味ではなく、「~したくて仕方がない」「~せずにはいられない」という意味で使われます。上記の意味合いを出すためには“There's nothing we can do.”という言い方もありますが、こちらは諦観というよりも「なす術がない」という意味に近いです。


 また、「仕方がない」は聞き手に対しても使えます。たとえば、台風の影響で予約していたライブがキャンセルになり、がっかりしている友人がいたとします。その場合、相手に対して「台風なんだし、仕方ないよ」のように励ましのことばとして使用する例も考えられます。この場合、英語では“That's life.”と言って、落胆している相手に対して励ましのことばを投げかけるということもできます。


 諦観の意味合いが言外に含まれている「仕方がない」。そこには、日本語に込められた事態への捉え方が反映されているようにも感じます。